ニンゲン向いてない

やぎやまひつじの日常。通院歴6年。死にたくないので生きます。

人が嫌いだからこそ、私は猫に恋をした。

都会どころか近所のスーパーにさえ滅多に行きもしない引きこもり生活をしている私ですが

寒さと外界の怖さに背中を丸めながら歩いた品川区で、私は三時間泣いた。

恐らく、品川区という場で、私ほど涙を流した人はこれまでにいないと思います。

 

劇団四季『キャッツ』を見た。

 

名前くらいは聞いたことありますよね。もしかしたら見たことがある人も結構いると思う。何回も見た!って人もいらっしゃるかな。

一言で言うと、都会の一角、とあるゴミ捨て場でのノラネコたちの生活が描かれた、ミュージカルです。

 

劇団四季作品は割と見てるんです。

西部の恋物語、クレイジーフォーユー。

子供達の大冒険、嵐の中の子供たち。

大好きなディズニー映画で馴染みのある、リトルマーメイドにライオンキング、ノートルダムの鐘。

 

で、キャッツはとある団体で行ったんですけど。

キャッツ自体の知識はほぼゼロ。「確かメス猫がたくさん出てくる、女と女の争い系だったような?」とか勘違いしていたレベル。

 

C席とは言えど、ステージを囲むような半円形の劇場なのでよく見える。

しかも、すぐ横の壁に、演者が出てきそうな穴が空いてるんですけど。と、始まる前からワクワク。

 

会場が暗くなると、なんだかおどろおどろしい雰囲気の音楽の中、猫の目が暗闇で光る。猫が、いる。

すると壁にある穴から何かがシュタッと出てきて、猫の目のライトを手で持って顔に当てながら演者さんがお客さんに急接近。

 

で、感動とワクワクであんまりちゃんと覚えてないんですが、歌が始まった瞬間に涙が出て。

 

ここで空気が読めない自己紹介を挟んでおきますが、当方通院歴6年になる精神疾患者でして。もう毎日が辛くて。マンションのそこそこ高い階に住んでいるものだから、毎晩死のうと考えて。

なんにも楽しくなくて。大好きなゲームも楽しめなくて。

周りの人はみんなまともで。友達もみんな立派に働いたり大学に行ったりしているのに、私は引きこもりで。

 

人が、嫌いなんです。それは頑張れない私と、頑張っているみんなを比較して落ち込んでしまうから。

話せば、喧嘩は起こるし。相手の気持ちはわかんないし。人は人を殺めるし。私だって居なければいいなって思ってしまう人間がいるし。きっと周りの人は、私がいなければいいなって思ってて。だから死のうって。

 

ネコがね、歌ってるんです。顔もカッコよくて、歌も上手くて、体は軽やかで、しなやかで、でも筋肉がないと出来ない動きで。歌いながら踊るんですけど。

 

それが、1匹じゃないんですよ。20匹を超えるネコ達が、目の前で踊ってて。

動きは揃っていて、前の方でメインで踊ってるネコが目立っている中で、後ろで休んでいるネコも腕を舐めたり他の猫にじゃれあったり、それぞれの動きをしていて。

しかもハーモニーが超綺麗で。踊ってるのに、どうしてそんな綺麗な声が出るのかな?すごいなあって、思って。

 

もう、なんて凄いんだって思って。

凄さのオンパレードで頭がついていかなくて。

 

毎日毎日、昼過ぎに起きてご飯食べて、ゲームして、動画見て、寝て。何にもしてない毎日で。生きるのが苦痛だから、もう死んでしまおうって毎晩泣いて。

ほとんど誰とも会わない生活をしながら、毎日Twitter上で友達と話したりしてて。

 

そんな中、目の前のネコ達が、それはもう凄いことをしてるんです。で、キャパシティオーバーというか、頭がこんがらがって、すごいなあすごいなあって思ってたら、始まって3分もしないうちに涙が出てきてしまって。

 

ジェリクルキャットという猫が、どうのとか。

あのおばさん猫は横着しすぎて歩けなくなっちゃったよ、とか。

泥棒をやっているカップルの猫とか。

ちょっと悪者も出てきたり。

あとは序盤からアホっぽかったおちゃらけている猫が、思いのほかすっごい活躍をしたり。

最後はネコからのごあいさつということで、一言二言残して、劇は閉幕。

 

私のような、早くいなくなった方が世のためな人間だとは知らず、演者さんが最後に握手とかしてくれて。

 

今後の人生、キャッツに捧げようかなとか思って、C席なら安いし、バイトでも始めて、50回くらい見たいな、なんて思って、家に帰って調べたらC席は来年の6月まで席が埋まっていまして。

 

やっぱりすごいんだ。みんな見たいんだ。すごいもんね。わかる。すごかった。1回見られただけでも奇跡なんだよね。って思いながら、お母さんに興奮気味に話しました。

 

特にオススメというか大好きになったのが、ラム・タム・タガーっていうロッキンボーイなネコさんで、ちょっとナルシな感じでメス猫たちからモッテモテの色男(猫?)なんですが、

途中ステージから降りて女性客の腰を引き寄せ、一緒にダンスをして、女性客の席に勝手に座り、立ち上がり去り際に女性客の頭を色っぽく撫でて帰っていったりしていて。

 

私は、人が嫌いなんですね。

だから、猫に恋をしてしまって。

 

誇張表現とか一切無しに、命を救われたような気に勝手になっています。

ありがとう、劇団四季。ありがとう、キャッツ。みたいな。

 

で、お母さんが、B席でよければ誕生日に連れていくよと。

来年の二月。私、それまで頑張って生きよう。

四月からバイトして、またキャッツを見よう。見れなさそうだったら、CDを買おう。

 

待っていてね、ラムタムタガーと26匹の猫さん達。また会いに行きます。

 

それまで頑張って生きます。